今日が始まる。

眠い、頭痛い、辛い。



それでも、やらなきゃいけないことは山積み。




だから…できるだけゆっくり、布団から這い出た。






――ガチャ。



着替えたら、まずはゴミ出して…それから、洗濯物に…




「おはようございます、。」
「おはよう、姫君」

「ん…おはよ〜…」




私は何やら忙しそうな二人に返事をすると、早速ゴミ袋を出すべく、靴を突っ掛けた。


が。


「あれ?…ゴミ、ない…」



いつもの場所に、ゴミ袋がなかった。



「えっ?何で?!…まさか泥棒が…」

「あ…あの…」


後ろを振り向くと、ものすごく控えめに青年が立っていた。


「はい…?」


「[ごみぶくろ]は…リズ先生と九郎殿が日の出前に出しに行ってしまったのだが…。
余計なことをしてしまっただろうか…?」


「いえいえ、助かります。
あ、ありがとう…?」




なんだ、出してくれてたんだー…




皆が待っていると言われ、居間に引き摺られていくと。





「あ、勝手にお台所借りてしまってすいませんでした。」

妙にエプロンの似合う眼鏡をかけた青年が皿を運んでいる最中だった。


食卓には、どこかで見たような、見なかったような、おいしそうな料理が所狭しと並べられている。



「作って…くれたの…?」


「なぁに、心配すんなって!こいつ、料理の腕だけは俺も一目置いてんだ」

「…じゃあ、兄さんはいらないんだな」

「俺は誉めてやったんだぞ?」

「兄さんはいつも一言余計なんだよ!」





「あ。じゃあ私はこれで失礼しまーす…」




何だかよくわからないけれど、どうやらご飯とゴミ出しはやらなくていいから…





―――ガラガラ。



「ふんふんふーん…洗濯、洗濯〜♪」


「…………これは…一体…?」


「うん?……あ、おはようちゃん。」



さわやかに笑み、振り返った彼の手には、昨日着ていた私の上着が…


さらに覗き込めば、ベランダには、すっかり綺麗になった洗濯物がはためいていた。




「カーペット、シーツに、カーテンまで……?」


「窓は、気の流れ込む場所。
そこを覆うものを洗えば、の家の気の流れ、とても良くなる。」

「………って、白龍が。」

「急にごめんなさいね。」







「いえ、こちらこそすみません…」










居間へ戻りつつ、私はやっと考え始めた。



「うー……」

「…おや。来たようですよ」



なんだろう、この違和感。



「えーっと…」

「…ふふっ。気付いてないね」





あ。

私、今日―――――






「「誕生日おめでとう」」




「…へ?」







居間に入った瞬間鳴ったのは、軽快なクラッカーの音。


とびきり優しい笑顔で迎えてくれた人は………





「ヒノエと、弁慶…?
……すごい、本物だぁっ。」




いや、さっきからたくさんの本物に会っていたんだけど…





「昨日の晩に知ったんですよ。週の真ん中に休みを取るなんて、一体どうしたのかと調べたんです。」
「で、今それぞれが姫君にできることをプレゼントしたんだ。」


「そうなんだ…。でも、どうして私なんかに?」




すると、二人は同時に笑んだ。


「いつも、俺たちの話を書いてくれてるんだろ?
それに…世話になってるしね。」
「せめてものお礼です。」





いつになく息がぴったりな二人は、今度は同時に私の腕を取った。






「なななな何っっっ?!」


「いやだな、僕達からのプレゼントですよ。」

「そういうこと。は、」





「「今日一日、僕(俺)のお嬢様ですから(だから)」」





「………………はい?」





「お席まで僕がご案内します、お嬢様。」

「じゃ、お食事は俺が――」

「ヒノエが運んでくれるんでしたっけ?」

「…お前がやれよ。」

「二人とも、の前で争わないほうが…良いのではないだろうか…」





「ねぇ、もう洗濯するものは―――」

「…兄上?」

「じ、冗談に決まってるじゃないか〜。朔ってばもう〜」





「譲、ぷりん、作った?」

「あぁ、白龍。今日はぷりんじゃなくて[パウンドケーキ]なんだよ。」





「先生、[ごみだし]とは心身共に鍛練できるものなのですね!」

「うむ。九郎、の日々の苦労がわかっただろう?」

「お前ら…ゴミ出しに何時間かけてんだよ…」





「何だか…よくわからないけれど…」





楽しい一日になりそうです……?





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Special Thanks 葵朱歌 サマ

誕生日から1年経ってしまいましたが、ようやく皆様にも幸せのお裾分けが出来ます(笑)
ま、こっそり隠し持って楽しんでたんだけどね(おい)
サイトに遊びに来て下さっている朱歌さんから頂いちゃいましたーっ!!
八葉が、か、風見の日常の雑務を片付けて下さっておりますぅ〜〜〜っっ!
嬉しいやら照れくさいやら申し訳ないやら・・・(笑)
けど、読み終えて最初に思ったことが何故か

「せ、先生にゴミ捨てに行かせてしまった・・・」

だったのが不思議(笑)どんだけリズ先生偉いんだか(笑)
ってか、しょっぱなに朱雀に出会ってるんだから気付け自分っっ!とか見えない突っ込みも入れてみる。
もぉキャラが皆生き生きしていて、風見が書くよりよっぽど素敵な八葉と朔ちゃんとの生活!
ちなみに素敵八葉と朔ちゃんは風見のモノなので、誰にも渡しません。
特に朱雀を手放すつもりはサッパリありませんので、持って帰らないように!!

朱歌さんの素敵夢のご意見ご感想は、当サイト掲示板まで宜しく!!